会社員、不動産事業など、複業を実施している私ですが、最も自分の時間とエネルギーを割いている仕事は、本業であるコンビニ経営です。
私が本格的にコンビニ経営に参加したのは、2020年1月からですので、本記事執筆時点で約2年の実務経験を積んでいる状況です。
今回の記事では、私が店舗経営に携わるようになってから、売上増のために売場に少しずつ改善を加えてきたその内容を紹介いたします。
同業者の方々には、自身の売場作りの際の参考に、
一般の方々には、お店の売場から「店舗側からのメッセージ」を受け取れるきっかけになればと思います。
売場作りの重要性 ~セブンイレブンの基本4原則~
セブンイレブンでは、店舗運営において最重要項目として挙げた項目を合わせて『基本4原則』と呼んでいます。
出典:(株)セブンイレブンジャパン 公式HP
https://www.sej.co.jp/csr/sdgs/02_basic.html
店舗の経営に携わるようになり、まだ日が浅い私ではありますが、この基本4原則は本当に小売業において重要な本質を端的に捉えていると思います。
理想的な店舗では、オーナーだけでなく、そこで働く従業員の方々に対してもこの『基本4原則』が周知徹底されていて、自然と売上が立つようになると考えます。
今回の記事で紹介するのは『品揃え』に関するものです。
『お客様の欲しい商品を品揃えする』
シンプルにして、小売業において最も重要な要素だと考えます。
個人的には、基本4原則の中で最重要項目であり、立地に次いで売上に影響する項目だと考えています。
売場作りはその品揃えの一環になります。
私の考えの根本 ~お客様がコンビニに求めているもの~
売場作りを考えるに当たって、お客様のニーズを考えることは重要です。
コンビニに来店されるお客様のニーズは千差万別で、一概に括ることは難しいのですが、
私なりに下記の3つに整理しました。
①楽な買い物
コンパクトな店内で買いたい商品がすぐに見つかる。
わかりやすさ。
②安心・安定
いつもの定番商品が欠かさず品揃えされている。
何時でも買えることが重要。
③新鮮・驚き
新商品、流行りもの、お買い得品などを知ることができる。
「思わずほしくなる」商品があること。
限られた売場スペースで、それぞれのお客様のニーズを満たすことが重要です。
売場作りは『店舗側からのメッセージ』であると考えています。
・『いつもの商品の置き場はここで固定しておきますね』
・『ここに置いている商品は、今週新発売のオススメ商品です』
・『今、キャンペーン中のお得な商品、大量に仕入れました』
まず商品を知ってもらうこと、買いたい思ってもらうきっかけを作ること
このメッセージを売場作りで伝えることが、売場作りの本質であると、私は考えています。
お店のメッセージがお客様に伝わるように、根気よく続けていれば、
・お客様ごとに目的に応じた買いものがスムーズにできるようになりストレスフリー。
→リピーターが増える。
・本来の目的ではなかったけど、新発見による『ついで買い』が発生する。
→客単価のUP。
といった効果が見込め、売上増につながります。
上記を実現するために、当店で実践している取り組みを具体的に紹介していきます。
当店での具体的な取り組み内容
①定番の人気商品の配置場所は固定する
お店ごとに『この商品はよく売れる』という定番の人気商品があります。
当店の場合、下記のようなラインナップです。
おにぎり ・・・ ツナマヨ、昆布、むすび
カップデリ ・・・ たことブロッコリーのバジルサラダ、コールスロー
サンドイッチ・・・ ミックスサンド、ハムとたまごのサンド
消費期限が短い上記のような商品は、その時々の在庫状況によって、配置場所を替えることがしょっちゅうですが、売れ筋の人気商品だけは配置を固定するように徹底しました。
売れる商品というのは、目的買い(その商品を求めて買いに来る)のお客様が多い商品ということなので、ストレスなく商品を見つけられることが重要です。
その商品の配置場所を固定せずに、適当に置いていると、都度『お客様がその商品を探す』というストレスを掛けてしまうことになります。
探した挙句、欠品という状況であれば、お客様のガッカリは計り知れません。
目的買いのお客様は、その後のリピーターに直結する可能性が高いお客様でもあるので、最重要なお客様と捉えられます。
そのようなお客様に、なるべくストレスを掛けない売場作りが大切です。
②推したい新商品の配置場所は固定する
コンビニでは毎週100~200種類の新商品が発売されます。
その中で、見た目や謳い文句から『これは当店で売れそうかな』という商品に関しては、集中展開する配置場所を固定しています。
スイーツ、パン、ドリンク、チョコ・スナック菓子、カップ麺・・・
売上比率が高いそれぞれのコーナーには、オススメの新商品を展開する場所(目立ちやすい一等地の売場)を固定すると、
「新商品が出ましたよ。これが当店のオススメです」という店舗側からのメッセージが伝わりやすくなります。
リピーターのお客様にその認識が浸透すると、新商品を探すお客様はまずそのエリアをチェックするだけで、今週のオススメ新商品を把握できるため、楽ちんに買い物ができます。
見慣れない新商品が目立つ場所に配置されていることで、『ついで買い』が発生しやすくなり、売上増が期待できます。
その新商品コーナーのおかげで、売場には一種の「新鮮さ」が常に現れるようになり、売場のマンネリ感が出なくなるという効果も見込めます。
③キャンペーン商品は目立たせてなんぼ
コンビニが実施するキャンペーンは、お客様だけでなく、店舗側にもメリットがあるイベントです。(仕入れ原価が下がる、売上数が上がりやすくなる、など)
セブンで毎週実施しているプライチキャンペーンや、販促物(オマケ商品)付きの商品に関しては、レジ横に山積みして最大限目立たせます。
人の心理的に『大量陳列されているものは美味しそうに見える』そうです(※父談:諸説あり)。
個人的には「キャンペーンを打ち出してオススメするのであれば、大量に販売するため準備がある(販売する価値がある)とお客様に伝える」ために、大量陳列は意味があると思っています。
当店では、キャンペーン商品の大量陳列場所を固定して一年経ちますが、地区の中でも反響(売上増の効果)は高い方に位置していますので、効果はあると思っています。
④商品ごと、配置場所ごとにランクをつけて最適配置を模索する
当店では品揃えする商品(単品)ごと、また配置場所ごとにランク付けしています。
商品に関しては下記のようなランク付けのイメージです。
◆商品ランク
【S】超売筋商品。どこに配置しても売れやすい。多くのリピーターが付いている。
消費期限が短い商品も厚めに発注。(廃棄を出すつもりで)
【A】準売筋商品。配置場所によって売れる売れないが大きく変動する。
消費期限が短い商品はやや厚めに発注。(正直廃棄を出したくないが、出しても良い分類)
【B】可もなく不可もなく商品。よく売れるわけではないが、置かないと困る商品。
(砂糖など必須調味料やブリトーなど好きな人は好きな商品)
廃棄を出さないように気を付けながら発注を入れる。
【C】死筋商品。次に新商品を入荷する際にカットする、あまり売れない商品。
これでは絶対に廃棄は出さないという意気込みでで、売り切れる分だけ発注を入れる。
売場のエリアランクについては下記のイメージです。
これらを自店の売れ方、地区の売れ方、世間での評判を鑑みながら、自分でランク付けし、配置と共に最適解を日々考えます。
個人的な感覚としては【S】ランク商品はむしろ2等地に配置しても売上が落ちにくく、
むしろ【A】ランク商品を積極的に1等地に配置した方が、全体として売上が伸びるような気がしています。
また、1等地には『売れる商品』だけでなく、『売りたい商品』を置くことも重要です。
粗利が良い、単価が高いなど、自店の都合ではなく、あくまで「お客様にオススメしても恥ずかしくないイチオシ商品」を配置することが大切です。
今後に取り組みたい売場作り
自店の取り組みで不足している部分は、お客様への更なる商品魅力の訴求です。
配置を工夫して『商品をお客様に認知してもらう』はこれまでの取り組みで定着してきたように感じています。
これをさらに、『商品の認知→実際に購入してもらう確率』を上げるためには、商品の魅力を伝えることが必要になってくるだろうなと感じています。
・自店オリジナルのPOP作成(お客様の声、従業員の感想、メーカーの思いを伝える)
・提案型セット売り(コロナ禍自宅待機セット:ポカリ、レトルト食品、レンチンご飯、カップ麺、栄養ドリンクなどを詰め合わせて販売など)
労力に対してコスパが合うのか、冷静に判断しながら、
今後はこういった取組を実施していきたいと考えています。
まとめ
今回の記事では、当店が売上増のために売場作りで始めた取り組みを紹介しました。
お客様がコンビニに求める内容(当店の考え)
①楽な買い物
②安心・安定
③新鮮・驚き
当店で始めた具体的取組
①定番の人気商品の配置場所は固定する
②推したい新商品の配置場所は固定する
③キャンペーン商品は目立たせてなんぼ
④商品ごと、配置場所ごとにランクをつけて最適配置を模索する
コンビニのような小売店の経営では、売上を増やすための一発逆転の魔法のような方法はなく、日々小さな工夫・努力を積み重ねることしかないと、私は考えています。
こういった取組・発案を、オーナー独りよがりではなく、従業員含めた店舗全体で取り組むための体制作り・人材育成もまた大切です。
日々、トライ&エラーを繰り返し、理想の儲かる店舗運営を実現していきます。
ご意見があれば、Twitterもしくはメールにてお問合せください。
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