不動産経営を行うにあたり、物件を所有したのちに必ず行うことが『入居付け』です。
入居付けとは、物件を借りたい借主を見つけて、賃貸契約を結ぶ一連の作業のことですが、物件オーナーが自分で入居付けを実施することはほとんどなく、賃貸仲介業者さんにお願いすることになります。
今回の記事では、私が相続の都合でアパートオーナーとなり、初めて入居付けを行った際の体験を綴っています。
不動産関係にほぼ素人の状態で、手探りながらも不動産仲介業者さんと行ったやり取りや、その後の勉強や会話を通じて感じた反省点をまとめました。
これから不動産経営を始めようと思っている方、不動産を相続した後に何を行えばよいかわからない方の参考になればと思います。
【事前対応】 不動産仲介業者との交渉、物件準備
入居付けのために物件のオーナーが実施すべきことは、大きく下記の二つです。
・仲介業者さんへの依頼
・物件の準備
下記に詳述します。
仲介業者への物件紹介の依頼
まずは仲介業者へ「この物件を貸したいので借主を探して(=仲介して)ほしい」と依頼することになります。
仲介業者には、エイブルやミニミニなどの全国区の大手だけでなく、地場の〇〇不動産など、非常に数多くの業者が存在します。
物件の情報を持ち込み、下記のような条件を設定していきます。
仲介業者に依頼する上で決定する条件
・家賃、共益費
・敷金、礼金
・その他条件(保証人の条件、ペット・楽器の可否など)
・広告料
私の場合は、祖父の手法を踏襲して、アパートの部屋ごとに仲介業者を分けています。
例えば
101号室はD社(地場不動産会社) に
103号室はE社(大手仲介会社) に
それぞれ委託するようなやり方です。(後述しますがお勧めしません)
◆条件内容
・物件条件:築50年木造ワンルームアパート、最寄り駅徒歩10分、告知事項なし、
耐震補強工事済み、ユニットバス、エアコン付き、キッチンコンロなし、
最低限のリフォームは済
・賃料:3万円/月、共益費なし
・敷金、礼金:なし
・その他条件:保証会社の利用必須、ペット不可
・広告料:1~2か月分
これまでの実績や近隣競合物件の相場を把握する仲介業者さんからのアドバイスを基に自身で決定します。
条件を決定した後、合鍵を仲介業者に渡し、いつでも内見に連れて行って良い旨もお伝えします。
物件の準備
入居者が内見に来られる前に、物件の内装を確認し、必要に応じてリフォームや清掃を行います。
私の場合は祖父の代から付き合いのある内装業者さんに依頼しました。
物件の状態を確認してもらい、特段大きなリフォーム(壁や床の張替えや水回り改修)は必要ないと判断し、少し本格的な清掃(錆取や換気扇など含む)を実施してもらう程度にしてもらいました。(数万円程度)
【入居の契約】入居希望者が現れてから
物件の準備が終わり、物件の仲介依頼が終われば、後は基本的に「待ち」です。
仲介業者さんが借主希望者を見つけてくれるのを待ちます。
プロの不動産経営者は空室期間を嫌いますので、一日も早く空室を埋めるために色々な手段(フリーレントや広告料の増額)などを講じますが、
私の場合は物件の特性(築古木造アパート)ということもあり、下手に費用をかけずに動かないことが良いと考えています。
(兼業の相続無借金大家だからできるのかもしれませんが)
私の場合は依頼をしてから3か月後に入居希望者アリとの連絡を頂きました。
入居審査(入居希望者情報の確認)
入居希望者が現れたら、審査を行います。
「審査」というと大げさかもしれませんが、要は「この人に部屋を貸しても問題を起こさなそうか」を判断することです。
・現住所、連絡先、年齢などの基本情報
・勤務先、職種、年収などの属性情報
・入居理由
・対応した仲介業者さんの印象(性格、雰囲気など)
これらを基に、「家賃滞納する可能性はないか」「近隣住人への迷惑行為を起こす恐れはないか」などを判断します。
私の場合、重視しているのは、下記の3点のみです。
・入居理由(もっともな理由か)
・保証会社を付けることに合意しているか(滞納の可能性があることはむしろ前提)
・仲介業者さんの印象(壁が薄い物件なので、騒音はガチで問題になりやすい)
初めての入居希望者は、近隣の大学に合格した学生で下宿を希望、保証会社OK(親も連帯保証人OK)で、業者さんの印象も○でしたので、二つ返事でOKしました。
契約書押印
仲介業者さんが準備してくれる契約書を締結していきます。
フォーマットは整っているので難しい作業ではないのですが、契約書の内容は把握しておくのが吉です。
私の場合は、賃貸契約書に加え、保証会社との契約書にもサインします。
保証会社の選定に関しても本当は吟味すべきですが、当時の私は仲介業者さん推奨のところで契約しました。(結果から言うと問題の少ない保証会社でしたので良かったε-(´∀`*)ホッ)
不動産仲介業者への支払い
一連の契約が完了して、入居が開始された後は、不動産仲介会社と清算します。
私の場合、
仲介業者への報酬(広告料2か月分6万円)
- 不動産業の預かり家賃(初月の日割分1万円+翌月1か月分3万円)
= 2万円のお支払い
となりました。
反省点
一連の作業を体験して、またその後に不動産業界について勉強してきたにあたって、この入居付けに関して、多くの反省点が見つかりました。
素人ながらに感じた反省点をまとめました。
不動産仲介業者との関係性(利害性の一致)
現在の私は祖父の手法を踏襲しており、「自己管理」です。
つまり、仲介業者からすると、入居付けが済んだ後に継続的な「管理料」がなく、広告料のみの単発報酬となります。
賃貸の入居付けは、仲介業者としては結構な手間がかかります。
来客の要望を聞き、候補物件を提示し、幾つか内見に行き、と掛かる時間は数時間。
契約書の準備にもそれなりの時間が掛かります。(さらには契約前に断られるケースもあり。)
そんな手間をかけたうえで、得られる報酬が(私の物件の場合)6万円では・・・もはやボランティアです。
今回の入居付けは、仲介業者のご厚意で成ったと言っても過言ではなく、このままでは長期的な関係は望むべくもありません。
以降は、管理委託契約など仲介業者にとってもメリットある関係を築いていきたいです。
そう思うと、部屋ごとに別々の業者さんに仲介を依頼することは、おすすめできる手法ではないと思います。(アパートの管理委託は一棟まとめて行うものであるため)
仲介業者の選択
一方で、仲介業者自体の選択も非常に重要になります。
今後のベストな選択肢は、上述のように、管理委託も併せた仲介委託になる私は考えています。
その際には、管理及び仲介それぞれの質とコストです。
・管理にどこまでの内容が含まれているか(定期清掃、クレーム対応、滞納対応など)
・追加費用が発生した際にどれだけ費用(中抜き手数料)が乗っているか
・管理費、仲介手数料は適正か(業者によってはボッタクリあり)
実際、私は付近の管理・仲介会社の質までは把握できていません。
祖父が存命のうちに情報を集めて、判断していきたいと考えています。
入居者の見極め
低家賃の物件に関しては、特に注意が必要なのが、入居者の見極めです。
実は今回入居付けしてもらった学生も当初、「友人を家に招いて夜に騒いでいる」と他の入居者さんからクレームがありました。
私から文面及び直接注意して収まりましたが、なかなか精神的に大変でした( ̄▽ ̄;)。
(自己管理だトラブルが発生した時の対応がキツイ)
別の話にはなりますが、過去には数か月分の家賃を滞納して夜逃げした方もいらっしゃいましたし、内装がボロボロにしていた方もいらしたそうです。
失礼な物言いになりますが、家賃が低い物件に住む事情がある人は、それなりに問題を抱えている方が多いのは事実だと思います。
ぶっちゃけ、書面と間接的な印象だけで見極めは困難ですが、今後も要注意になります。
まとめ
今回は私の初めての入居付けの体験、及び反省点を記載しました。
・入居付けで実際に私(オーナー)がやったことは、
仲介業者とのやり取り
物件の準備(清掃)
契約書へのサイン
仲介業者への支払い
・反省点としては
仲介業者にも利益のある取引になっていなかっただろう
仲介業者を祖父の縁だけで決めており、質・コストを考えていなかった
入居者の見極めは非常に大切(特に低家賃の物件)
初めて尽くしの不動産経営ですが、少しずつ体験を積んでいます。
場数を踏み慣習や相場を身につけて、いつしか大きな投資(建替え)を行い、立派な不動産経営者を目指します。
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